きっと死ぬまで愛情に飢えつづける
生い立ち。
育てられ、生きてきた環境。
そこで形成された人格。
記憶のないようなずっとずっと昔の、
幼少期からおそらくわたしは愛情に飢えている。
けっして両親の愛情が子供に向かなかったとは思わない。
その証拠にきょうだいは私みたいな感情を、きっと抱いていない。
いまも両親のことは嫌いなわけじゃない。
だけど、
10代のころ、なにかの拍子に母に言われたことば。
「小さいとき、愛情を十分にかけられなかったからね。ごめんね。」
「今さら遅いかもしれないけれど、もっと甘えてね。」
それを聞いた瞬間、ものすごい勢いでなにかが解けた。
なぜ自分に埋まらない心の穴があるのか。
なぜ、こんなにも寂しいと感じることが多いのか。
どうして母親に甘えられないのか。
あぁ、愛情不足でわたしは育ったのか。
自分でも気づかなかった事実と感情にはげしくとまどった。
そして今まで自分自身について理解できなかった感情が解けていく。
嫉妬心の強さ。
独占欲の強さ。
束縛心の強さ。
両手放しで安心・信頼なんてできなかった。
好きになるひとは誰でも構わず独占して、近寄る人間=とくに女性に嫉妬して、縛り上げた。
その結果、うんざりされる。
相手の自由をうばってこちらを向かせたいから、喧嘩もする。
そして自分自身の世界も狭くなり、くたくたに疲れ切ってしまう。
ちょっと離れて考えてみたら、
なんもいいことない。
しかし、渦中のわたしにそんな視点はない。
いまだって、ない。
いつだってつまづいて、苦しくなる原因は同じ。
愛情不足というカラッカラに乾きあがった土壌から生える
嫉妬心・独占欲・束縛心。
愛情を受けたい相手、とりわけ大人になってからは親ではなく恋愛相手。
その対象からの愛を、自分だけに向かせたい。
わたしだけを見てほしい。
わたしだけを愛して。
頭のなかをわたしだけにして。
どれだけ愛という雨をふらせてくれても、すぐに干からびてしまう。
やがて、雨は降るのをやめる。
きっと死ぬまで愛情に飢えつづける。
ひょんなことから、それに気づいてしまった夜。
かなしくてさみしくて、やるせなくて。
この感情をどこにぶつけていいのかもわからないまま、あたらしい朝だ。
この先いつか死ぬまで、どうやってこれと共存していけばいいんだろう。