ヒトカノ

人さまの旦那さんが彼氏。その道をあゆむオンナの胸のうち。

もしも、誰かがわたしをスキになったら。

お付き合いした男性は、とても少ない。

体を重ねたひとも、とても少ない。

 

同世代の女の人に比べてだけど、

これは自信をもって言える。

 

好きになったら一気に視野が狭くなるというか、

たとえ片思いであったとしてもその人以外考えられなくなるタイプの恋愛をしてきた。

 

思春期のころは気軽なアプローチを受けたりしたこともあったけど、

せいぜい焼肉とかちょっと夜のドライブに行くくらいで、

わたしが好きな人以外と遊ぶ気にもなれなかった。

(いま思うと人生ヘタだなぁ)

 

そんなわけで道を踏み外すまでのわたしはずいぶん保守的で、

特に性に関してはたいへん潔癖だった。

 

いまとなってはぜーんぜん説得力のない言葉となってしまったけれど。

 

これでも好きになった人を一途に思い続ける女です。

どうやら重い女っぽいけど

 

ほかに彼氏を作ったり、積極的に外に出会いを求めたりしない。

道を踏み外すきっかけとなった彼だけを

いま、愛している。

 

 

が、

 

 

が。

 

 

生きている限り、

「わたしの幸せ」とか

「わたしの人生」を歩まないといけないわけで。

 

 

ふと、思う。

 

夜、ぼやーっと明かりの灯るファミリー向けのマンションを見て。

日曜のおひるに手をつないで歩く親子3人を見て。

 

わたし、この幸せを手にすることはできない?

これ、彼にポイってされたら、詰んでない?

 

 

って。

目を背けている現実や近未来をふと考えるんです。

 

そりゃ、女に生まれたからには憧れます。

愛する人に出会い、たくさんの人に祝福される結婚式を挙げる。

その愛する人と新婚旅行。

二人の愛の結晶のこどもに恵まれ、

家族仲良く暮らしていく。

 

 

これ、いまのわたしってぜんぶ無理なんじゃ・・・。

 

そうなると、

「あれ、このままでいいのか?わたし。」

といった具合に倫理感の天使が語りかけてきます。

 

「いまならまだ普通の幸せをさがしに戻れるかもよ。」

「女としての魅力は衰えていく一方なんだから、いつか飽きられるよ。」

「こども、けっこん。ほんとにしたくないの?」

 

で、タイトルの部分。

【もしも、誰かがわたしをスキになったら】

わたしは万人に祝福されることのない関係である彼の手を離れ、

わたしを愛してくれる男性とハッピーな結婚生活とか願っちゃうんだろうか。

 

こどもとかほしいねー

けっこんしきはどうするー?なんて言っちゃうんだろうか。

 

わたしがしあわせに見える人生というのはきっとそっちだってわかってる。

年に数回しか会わない親も、そこそこ仲のいい友達もきっと喜んでくれる。

 

いまなんて隠し通すしかない関係だから。

 

こんな気持ちになっちゃうのは、

重ねていく歳への恐怖と、

近づく肉体的なリミットへのおそれだろう。

 

だけど、

もし誰かがわたしをスキになってくれることがあったら。

 

わたしはどんな選択をするんだろう。